「ブラック・スワン」

新宿ピカデリーにて。

新解釈「白鳥の湖」を公演すべく中堅のダンサー、ニナが主役に選ばれる。だが彼女は白鳥オデットの清潔さは持っていたが黒鳥オディールの妖艶さを持っていなかったため苦悩する。そんな中、奔放なリリーが団に加わり、、、てなお話。

ストーリーに複雑さは無く、その分主人公ニナの心理描写に重きを置いて描かれている。
周囲の状況に翻弄され変化していく彼女を時に直接的、時に幻想、妄想的に描いた演出はへたなホラーよりも恐ろしくも痛々しく、彼女の行く末にグイグイと興味が惹かれていった。

この映画がいま公開されたのはなかなか良いタイミングだったかと。現実と幻覚が混在する映画がここのところ立て続けに公開されてるから、観る側の準備がある程度整ってるからだ。映画をそれほど観ない人にはあまり関係ない事だけどね。

ちょっと気になったのは、なんかガチャガチャした印象の残るシーンのつながりと、「白鳥の湖」に頼りすぎな所かな?観終わった後「白鳥の湖」の曲しか頭に残ってなかったからねぇ。ま、これを期待して観たんだから満足なんだけどさ。

自分なりの解釈が要求される部分も多い気がするけどナタリーの迫真の演技は素晴らしく、実際にバレエを観たい気にさせてくれる、良作というよりやや怪作寄りな印象の映画だった。今注目のミラ・クニスを観ておくのもいいんじゃないかな?

パンフはA4変形4C2C。写真のレイアウトは、ん〜という感じだけど、赤と黒をつかった2色ページは作品の雰囲気に合っていて良い感じ。テキストは必要要素はすべて入ってて◎。変な版形なんで本棚でじゃまになるから買うなら覚悟すること。