「ドリームホーム」「アリス・クリードの失踪」「赤ずきん」

「ドリームホーム」みんな大好きシアターN渋谷にて。

シーサイドビューのマンションを買いたい、、、目当ての物件を安く、確実に手に入れるため主人公がとった恐るべき行動とは、、、てなお話。

被害者目線でなく、完全な加害者目線で物語が進行するのが面白い今作。殺人の理由がとんでもないながらも妙に共感できる部分も多々あり、鑑賞後にすがすがしささえ残った。舞台である香港の住宅事情や物価の変動など、それなりに時代を反映させたリアリティーと、それらに関するシニカルな笑いがしっかり効いているのは好印象。

殺害シーンは結構どぎつめなものの、慣れてる?人なら笑える物に仕上がっていた。特にタイラップを使用した拘束&殺害シーンは目新しく、劇場でタイトルロゴ入りのタイラップを売ればいいのに!そして買った人の住所を警察に売ればいいのに!と思った程。

テーマ、主人公の設定、殺害方法などなど、かなりチャレンジを感じ取れた作品で、ほぼ単館上映なのが実に惜しい。ソフト化された後でもいいので是非押さえておきたい作品だ。

■パンフレット
パンフに関しては以降、箇条書きで感想を書いていくほうがシンプルでいいかな。
サイズ:A4 色数:4C1C 監督インタビュー:有 キャストインタヴュー:無 プロダクションノート:無 レイアウト5段階評価(1低5高):3 総評:2 特記事項:表4からの11ページは「パン・ホーチョン、お前は誰だ!?」という今作監督の作品特集上映の案内になっている。




アリス・クリードの失踪」ヒューマントラストシネマ有楽町にて。

2人組の誘拐犯がさらった金持ちの令嬢。アジトに監禁し身代金の交渉を進めていくうちに明らかになる3人の意外な関係性と事件の行く末は、、、てなお話。

ほぼ登場人物3人のみで進む物語は演劇的になるかと思いきや、閉鎖空間をカメラワークで動的に見せていて目が飽きることはなかった。大筋は気になる部分がチラホラあるものの、しっかり最後までハラハラさせてくれたので満足。
ただ、登場人物全員の行動にイライラさせられっぱなしだったのはいただけない。しかもそのイライラ部分がすべて物語が動くきっかけになってるのは正直オイオイと思ってしまった。
自分が思うイライラってのは、ホラーで言うところのお約束的な部分、1人で行動したり暗い部屋に明り無しで入ったり的な「いわんこっちゃないよ!」というところ。わかりずらいかな?

低予算ばかりがとりざたされているけど、予算を感じさせない密度を持っているんじゃないかな。今作も十分良作だけど、次回はイライラしないで済む作品を作って欲しいな。

■パンフレット
サイズ:A5 色数:4C1C 監督インタビュー:有 キャストインタヴュー:有 プロダクションノート:無 レイアウト5段階評価(1低5高):3 総評:3 特記事項:スペースを多く取ったレイアウトは悪く無いけどありきたりでもある。表紙に写真を使わなかったのは意表をついてて良。買ってもいい。



赤ずきん丸の内ピカデリーにて。

雪深い寒村で起こった狼による村人襲撃事件。生贄により均衡を保っていた両者の関係が崩れ、村を恐怖が襲う。相手はただの狼ではない、村人にまぎれて獲物を狙う人狼なのだ、、、てなお話。

物語は童話赤ずきんをベースに、ゲームの「汝、人狼なりや?」を乗っけた感じ。話の中心は村人の誰が人狼なのか?であり、毎夜人狼に襲われたり、日中疑わしい人物が酷い目に合うのもゲームに雰囲気が近い。逆に童話のストーリー部分はそれほど生かされておらず、ときおり思い出したように童話の有名シーン、おばあさんに尋ねるところなど、が挟まれていてちょっと笑ってしまった。
主人公を巡っての恋の鞘当や両親の秘密など、ミスリードを誘うような小ネタを挟みつつ、全体的にメリハリなくゆるく物語が進んでいくのは気になるけど、人狼の正体については納得がいったしダークな感じのオチは嫌いじゃない。

「汝、人狼なりや?」の映像化作品として観れば、ゲームをする際のイメージの助けになって良いんじゃないかな。赤ずきん要素はいらなかったと思うけどね、たはは。

■パンフレット
サイズ:B5 色数:4C 監督インタビュー:有 キャストインタヴュー:有 プロダクションノート:有 レイアウト5段階評価(1低5高):4 総評:4 特記事項:童話の雰囲気を出しつつダークな気配を感じさせるデザインは良。童話に関する小ネタや映画との関連性を指摘したコラムも多く読み応えあり。買って損なし。